開発の原点①
どれだけ化粧品を塗っても乾く...
乾燥との戦いは20代からでした
私は、某有名メーカーで美容アドバイザーをしていた頃から筋金入りの乾燥肌でした。
その当時は、化粧水や美容液、乳液、クリーム、目もと専用ケアなど10種類以上の化粧品をせっせと塗っていました。でも、朝起きるともう乾いてしまうのです。
そして朝起きて、しっかり顔を洗ってから、またたくさんの化粧品を塗るのですが、やはり夕方にはさらに乾燥して、ツヤのない疲れた顔に...。「これ以上ない!」というほどお手入れをしているのに、全然良くならない乾燥肌に、10年近く苦しみ続けていた日々でした。
開発の原点②
洗いすぎが乾燥させる?!
ある日、雑誌を読んでいると、"洗いすぎが肌を乾燥させている"という記事があり、「もしかしたらこれは私のことかもしれない」と思いました。そこで、朝の洗顔を、洗顔料を使わずにぬるま湯で洗うだけに変えてみました。すると、10品も使っていた化粧品が半分でいいほど、肌が以前よりも乾燥しなくなったのです。これには本当に驚きました。「私は洗いすぎだったんだ!」とこの時気がついたのです。
でも、新たな悩みが出てきました。それは、「ぬるま湯洗顔」を続けていると、肌がどんどんくすむ*1のです。結局、色々試した結果、3日に一度、石けんで顔を洗うようになりました。この頃から私は、「私のような乾燥肌でも使えて、肌をくすませない*1、そんな朝用洗顔料をつくりたい!」と思うようになりました。
そんな時に、マナラへ転職。美容相談室に配属されました。たくさんのお客様の肌悩みを聞くうちに、なんとかしたいという思いで、思い切って岩崎社長に「こういう製品をつくってみるのはどうか?」「この製品はもっとこうしたらいいのでは?」と提案し続けました。そのうち、「じゃあ製品開発やってみる?」となんと製品開発という部署が新設され、晴れて製品開発部に配属されたのです。
その後、すぐに第一子妊娠、出産へ。もともと、「乾燥しない朝用の洗顔を作りたい!」と思っていましたが、〈モイストウォッシュゲル〉が誕生したのは、出産直後の子育てに奮闘していたときのことが大きなヒントになりました。
子どもが生まれてからというもの、顔をきちんと洗う時間も取れず、適当に石けんを泡立てて、洗い流して、そして洗面台はびしょびしょ...。毎日の洗顔がどんどんストレスになっていました。そんな私自身の日々の悩みを解決するのは、乾燥肌を守るのはもちろんですが、泡立ていらずで洗い流しも不要な毎日ラクに使えるもの。そして「くすみ*1の原因になる古い角質や毛穴の汚れも取り除いてくれる美容液洗顔を作ろう!」とイメージが一気に固まり、開発を始めました。
早速つくった第一号の試作品の社内評価は、「ただヌルヌルするだけじゃない?」という、厳しいものでした。
開発の原点③
乾燥か毛穴汚れか...
2択ではなく、両方解決したい!
この最初の厳しい意見に、逆に火がつきました(笑)
「絶対に、角質や毛穴汚れもスッキリできて、乾燥もしない製品をつくってやる!」と。
まず私が着目したのは、泡立てしなくても角質や毛穴の汚れをすっきり落としてくれる"酵素"でした。私自身、"酵素"の洗い上がりの肌がつるっとするところが好きだったからです。
そこで、研究者に、当時開発を進めていた乳液のようなテクスチャーの洗顔料に"酵素"が入れられないかを相談しました。
すると、「"酵素"は水分と混ぜると効果が失われてしまうので、液状やクリーム状の製品に"酵素"を配合するのは難しい」と断られてしまいました。
しかし、どうしても諦められず、「何か方法はないか?」何度も粘り強く交渉を繰り返しました。すると、なんと解決策を探してくれたのです!
それは、"酵素"をカプセル化すること。しかも、カプセル化することで、"酵素"の効果を持続させることができることが分かったのです。
もし私に化学の専門知識があったら、最初から乳液に酵素を混ぜようなんて考えにはならなかったと思います。
専門知識がなかったことで、研究者の間では考えられない、常識を覆す発想が生まれたのだと思っています。